☆第1章 Boy Meets Girl☆ 第16話
目次へ
今週末はダービーだ。
ダービーって響きは、どうして心がこんなに弾むんだろうね。
皐月賞で勝ちきれなかったフサイチホウオーの人気がダントツになりそう。
牝馬が11年ぶりにダービー参戦。
武豊のお手馬、アドマイヤオーラに岩田騎乗が決まり、
前代未聞、武豊がダービーに騎乗馬なし?という事態になりかけたけれど
結局、岩田のお手馬だったタスカータソルテに決定。
(タスカータソルテは私のPOG指名馬なのだけど、
まぁそれはここではどうでもいい話ね。)
牝馬が11年ぶりにダービー参戦。
武豊のお手馬、アドマイヤオーラに岩田騎乗が決まり、
前代未聞、武豊がダービーに騎乗馬なし?という事態になりかけたけれど
結局、岩田のお手馬だったタスカータソルテに決定。
(タスカータソルテは私のPOG指名馬なのだけど、
まぁそれはここではどうでもいい話ね。)
私は金曜日の朝から入院する。
土曜日には一旦家に帰れるらしい。
別にダービーだから帰してくれと頼んだわけではなくて、
土日は特にすることもないから帰っていいということなんだけど。
別にダービーだから帰してくれと頼んだわけではなくて、
土日は特にすることもないから帰っていいということなんだけど。
入院や手術にたいする不安はあるけれど、
今はあまり感慨もない。
今はあまり感慨もない。
要は上の空。
初めての全身麻酔や手術よりも、
あの人がこれからも私のそばにい続けてくれるか
そのことだけが不安。
これからどうなっていくのか
それだけが不安。
あの人がこれからも私のそばにい続けてくれるか
そのことだけが不安。
これからどうなっていくのか
それだけが不安。
不安で仕方なくて、たくさんメールを送った。
送った分だけたくさん返してくれた。
送った分だけたくさん返してくれた。
\(#⌒0⌒#)/ って、解読した暗号連発。
さよならしてから、24時間もたたない内にもう会いたかった。
会いたいって、思い切ってメールしてみたら、
会いたいって、思い切ってメールしてみたら、
「ダメです。入院の準備をしてください。
僕はまだ使命があります。」
僕はまだ使命があります。」
と却下されてしまった。
若干ふてくされていると、すぐにもう1通。
「大好きだから、我慢しなくちゃいけない時もあるんです。」
携帯の画面に「はーい」とつぶやく。
バッカみたい。子供みたい。
バッカみたい。子供みたい。
でも、使命ってなんだろう?
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
5月23日
From: 成田
Subject: コレ。
買ってみた。
Subject: コレ。
買ってみた。
夜9時過ぎ、メールが来た。
今日は会えるかな?と思ってて、でも仕事終わりの時間になっても
全然連絡が無いからダメなのかな?って
失望しながら都営新宿線に揺られていた。
写真付き。
花火セットの写真。
あっ、昨日の使命って・・・
From: 成田
Subject: コレ。
川で待ってます。
Subject: コレ。
川で待ってます。
私は、東大島駅で電車を降りると、
一度も止まらず荒川土手まで走っていった。
一度も止まらず荒川土手まで走っていった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
今日は少し風が冷たかった。
最近は、日によって気温がずいぶん違う。
もうすぐ梅雨になる。
梅雨が終われば夏が来る。
大島小松川公園を通って、荒川の土手に出た。
副作用で、ところ構わずノボせて汗をかく私は薄着の癖がつき、
今日も半袖のカットソーの上に薄いジャケット1枚。
風の冷たさに、ここで花火ができるのかな?と多少不安になる。
今日も半袖のカットソーの上に薄いジャケット1枚。
風の冷たさに、ここで花火ができるのかな?と多少不安になる。
G1ファンファーレ。
携帯が鳴る。もちろん成田さん。
携帯が鳴る。もちろん成田さん。
「今、さちさん見えてるよ。」
線路の方から、こちらに向かってくる人影。
ぶらさげているのはバケツ?
ぶらさげているのはバケツ?
私は電話を切り、走っていく。
「大変でした。」
両手に花火の入ったビニール袋と、バケツをぶらさげて、成田さんは言う。
「ありがとう。すごい嬉しい。」
私は飼い主にじゃれる犬のように、成田さんの腕にしがみつく。
「転ばないでね。」
そのまま、土手を降りて河川敷まで。
風が少しでもよけられる線路の下まで行った。
風が少しでもよけられる線路の下まで行った。
「仕事が終わって、ダッシュで店しめて探したよ。」
すぐに消えてしまうライターで、早速花火の先に火を付けはじめる。
「どこにあったの?」
「ドンキ。でも多分これ、去年のだよ。ホラ。」
パチパチパチと火がつく。火薬の匂い。
赤と黄色に光る花火は、目に痛いくらいに明るくて綺麗だった。
「ドンキ。でも多分これ、去年のだよ。ホラ。」
パチパチパチと火がつく。火薬の匂い。
赤と黄色に光る花火は、目に痛いくらいに明るくて綺麗だった。
でも数秒で消えてしまう。
「湿気てるでしょ?そんな気がした・・・」
残念そうな成田さん。いいのに、そんなこと。
あんな私の戯言を、聞き流さずにちゃんと探してきてくれた、
それだけでもう、いいのに。
残念そうな成田さん。いいのに、そんなこと。
あんな私の戯言を、聞き流さずにちゃんと探してきてくれた、
それだけでもう、いいのに。
とは言っても、花火は湿気てる上に、風もやっぱり強く。
一度火が消えてしまうと、次の花火に火を付けるのが難解になる。
私達は慌てて、次から次へと火をつける。
一度火が消えてしまうと、次の花火に火を付けるのが難解になる。
私達は慌てて、次から次へと火をつける。
「僕は、花火をしてるさちさんを見たくて花火を買ったのに、
これじゃ忙しくて何が何だか・・・」
これじゃ忙しくて何が何だか・・・」
ライターの火に指の先が当って、
”熱っつい!”と手を振りながら成田さんは言う。
”熱っつい!”と手を振りながら成田さんは言う。
赤や黄色や金色、銀色。目の前に弾ける光。
「でも綺麗だよ。綺麗、綺麗、きれいー!」
私は光の渦にはしゃぐ。
私は光の渦にはしゃぐ。
「さちさんは、わかんないね。子供なんだか、大人なんだか。」
成田さんはそう言いながら、優しい目で私を見て笑った。
成田さんはそう言いながら、優しい目で私を見て笑った。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜
「こんなこと、やってちゃいけないの、わかってるんだ。」
誤魔化されてばっかりいるほどバカでもマヌケでもないのね。
買ってきてくれた花火の半分を燃やして、
あとの半分はまた今度ねって。
あとの半分はまた今度ねって。
また今度。
とりあえず、もう1回花火はしてくれるんだ。
まさしく祭りの後のような静けさの中、成田さんは言った。
「自分が何やってるかわからないんだ。」
私もそうだよ。
自分が何やってるか、常にわかって行動している人なんているの?
自分が何やってるか、常にわかって行動している人なんているの?
口にする言葉とは裏腹に、彼の唇は無防備だった。
だからすかさず、乱暴気味に成田さんの頬っぺたを押さえて
自分の唇を合わせた。
だからすかさず、乱暴気味に成田さんの頬っぺたを押さえて
自分の唇を合わせた。
ごまかし、その場しのぎ、現実逃避。
「あなたは、全然わからないよ。子供だか、大人だか、
考えているのか、考えていないのか。」
考えているのか、考えていないのか。」
「何も考えてないよ。私は成田さんが好きなの。それだけ。」
それだけ。それ以上いったい何が必要?
| 固定リンク


コメント